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線維筋痛症のつらい痛みを和らげる!食べてはいけないもの徹底解説

線維筋痛症

線維筋痛症のつらい痛みに悩むあなたへ。実は、日々の食事がその痛みを悪化させている可能性があります。この記事では、炎症を促進したり、腸内環境を乱したり、神経を刺激したりする「食べてはいけないもの」を徹底解説。高糖質食品、トランス脂肪酸、グルテン、カフェインなど、具体的な食品例とその理由を詳しくご紹介します。今日から実践できる食生活の改善策を知り、痛みの軽減を目指しましょう。

この記事を書いた人

鍼灸院LapisThree代表:秋山貴史

鍼灸院Lapis Three代表 秋山貴志

鍼灸院Lapis Three代表で総合診療医の秋山貴志です。

現役医師の観点から皆さんの健康に役立つ情報と、鍼灸治療に関する情報を発信していきます。

総合診療内科医 Dr.AKIYAMA
在宅支援クリニック 院長

目次

線維筋痛症の痛みと食事の深い関係

線維筋痛症は、全身に慢性的な痛みが広がり、日常生活に大きな影響を及ぼす疾患です。
その痛みは、単なる体の不調ではなく、脳の痛みの処理システムに異常が生じることで起こると考えられています。
多くの患者さんが経験するこのつらい痛みと、日々の食事が密接に関わっていることは、あまり知られていないかもしれません。
近年、線維筋痛症の症状と食事内容の関連性について、国内外で研究が進められています。特に注目されているのが、炎症反応、腸内環境、そして神経伝達物質への影響です。
私たちが口にする食べ物は、体の細胞や組織に直接作用し、炎症を引き起こしたり、腸内の細菌バランスを変化させたり、さらには脳の機能にまで影響を及ぼすことが分かってきました。

食事と線維筋痛症の痛みのメカニズム

線維筋痛症における食事と痛みの関係は、主に以下の3つのメカニズムを通じて説明されます。これらのメカニズムを理解することが、適切な食事選択への第一歩となります。

  • 炎症の促進と抑制
    線維筋痛症の患者さんの多くは、体内で慢性的な微細な炎症を抱えていることが指摘されています。特定の食品は体内で炎症性サイトカインなどの物質の産生を促進し、炎症反応を悪化させる可能性があります。これにより、既存の痛みがさらに増強されたり、新たな痛みが誘発されたりすることが考えられます。逆に、抗炎症作用を持つ食品を積極的に摂ることで、体内の炎症を抑え、痛みの緩和に繋がる可能性があります。
  • 腸内環境(腸内フローラ)の乱れ
    腸は「第二の脳」とも呼ばれ、腸内環境の健康が全身の健康、特に免疫機能や神経機能に大きく関わっています。線維筋痛症の患者さんの中には、健常者に比べて腸内フローラのバランスが乱れている(ディスバイオシス)ケースが多いことが報告されています。特定の食品は腸内フローラのバランスを崩し、腸壁のバ透過性(リーキーガット)を高めることで、未消化の食物粒子や有害物質が血流に漏れ出し、全身の炎症反応や免疫反応を引き起こし、結果として痛みを増強させる可能性が考えられます。
  • 神経伝達物質への影響
    食事に含まれる成分や、腸内で生成される物質(短鎖脂肪酸など)は、脳内の神経伝達物質(セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンなど)の生成や機能に直接的・間接的に影響を与えます。線維筋痛症では、これらの神経伝達物質のバランスが崩れ、痛みの抑制系がうまく機能していないことが示唆されています。
    特定の食品やその代謝物が、これらの神経伝達物質のバランスをさらに乱し、痛みの感受性を高めたり、疲労感や睡眠障害といった付随症状を悪化させたりする可能性があります。
    これらのメカニズムを理解することで、「線維筋痛症だからと諦めるのではなく、食事の選択によって痛みをコントロールし、症状を和らげる可能性がある」という希望が生まれます。
    次の章からは、具体的にどのような食品がこれらのメカニズムを通じて痛みに影響を与える可能性があるのか、そしてどのように食生活を改善していくべきかを詳しく見ていきましょう。

線維筋痛症で避けるべき食品カテゴリー

線維筋痛症のつらい痛みを抱える方にとって、日々の食事は症状に大きな影響を与える可能性があります。特定の食品が体内で炎症を促進したり、腸内環境を悪化させたり、神経系を刺激したりすることで、痛みの増強や全身倦怠感、睡眠障害といった症状を悪化させる恐れがあるためです。ここでは、線維筋痛症の方が特に注意し、避けるべき食品カテゴリーとその理由について詳しく解説します。

炎症を促進する食品

線維筋痛症の病態には、慢性的な炎症が関与しているという説があります。そのため、体内で炎症反応を引き起こしやすい食品は、症状悪化のリスクを高める可能性があります。

高糖質食品と人工甘味料

高糖質食品は血糖値を急激に上昇させ、インスリンの過剰分泌を招きます。この血糖値の乱高下は、体内で炎症性サイトカインの産生を促進し、慢性的な炎症状態を引き起こす一因となると考えられています。また、一部の人工甘味料は、腸内細菌叢のバランスを崩したり、人によっては頭痛や消化器症状、神経系の過敏性を引き起こしたりする可能性が指摘されています。

食品の種類具体的な例避けるべき理由
高糖質食品清涼飲料水、菓子パン、ケーキ、ドーナツ、チョコレート、アイスクリーム、甘いシリアル、加工食品に含まれる砂糖血糖値の急激な上昇、インスリン過剰分泌による炎症促進
人工甘味料ダイエット飲料、ゼロカロリー食品、ガム、一部の菓子腸内細菌叢への悪影響、神経系の過敏性誘発の可能性

トランス脂肪酸と加工油脂

トランス脂肪酸は、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を増加させるだけでなく、体内で強力な炎症反応を引き起こすことが多くの研究で示されています。加工油脂に含まれるオメガ-6脂肪酸の過剰摂取も、オメガ-3脂肪酸とのバランスを崩し、炎症を促進する原因となることがあります。これらの油脂は、加工食品の風味や保存性を高めるために広く使用されています。

食品の種類具体的な例避けるべき理由
トランス脂肪酸マーガリン、ショートニング、ファストフード(フライドポテトなど)、インスタント食品、菓子(クッキー、パイなど)、揚げ物体内で強力な炎症反応を引き起こす
加工油脂(過剰なオメガ-6)サラダ油、コーン油、ひまわり油を多用した揚げ物や加工食品オメガ-3脂肪酸とのバランスを崩し、炎症を促進

精製された穀物

精製された穀物とは、小麦粉や白米のように、食物繊維やビタミン、ミネラルといった栄養素が取り除かれた穀物のことです。これらの食品は消化吸収が早く、血糖値を急上昇させやすいため、高糖質食品と同様に炎症反応を促進する可能性があります。全粒穀物と比較して、栄養価も低く、腸内環境を整える食物繊維も不足しがちです。

具体的な例:白米、食パン、うどん、パスタ、ラーメン、菓子パン、精白小麦粉を使用した製品全般

腸内環境を悪化させる可能性のある食品

近年、線維筋痛症と腸内環境の関連性が注目されています。腸内細菌叢の乱れ(ディスバイオーシス)や「リーキーガット症候群」(腸管壁浸漏)が、全身の炎症や神経系の過敏性、さらには痛みの閾値に影響を与える可能性が指摘されています。腸内環境を悪化させる可能性のある食品は、避けることが推奨されます。

グルテン含有食品

グルテンは小麦、大麦、ライ麦などの穀物に含まれるタンパク質の一種です。セリアック病と診断されていない方でも、「非セリアックグルテン過敏症」と呼ばれる状態の人がおり、グルテンを摂取することで腸の炎症、消化器症状(腹痛、下痢、便秘)、頭痛、倦怠感、そして全身の痛みを悪化させることがあります。線維筋痛症の症状と重なる部分が多いため、試行的にグルテンフリーの食生活を試す価値があるかもしれません。

具体的な例:パン、パスタ、うどん、ラーメン、ピザ、クッキー、ケーキ、シリアル、醤油、ビールなど

乳製品

乳製品に含まれる乳糖(ラクトース)は、乳糖不耐症の方に消化器症状を引き起こします。しかし、乳糖不耐症でない方でも、乳製品に含まれるタンパク質であるカゼインが、一部の人で炎症反応や消化器症状、さらには痛みを誘発する可能性が指摘されています。特に、線維筋痛症の症状が消化器系の不調と関連していると感じる場合は、乳製品の摂取を見直すことが有効な場合があります。

具体的な例:牛乳、チーズ、ヨーグルト、生クリーム、バター、乳製品を原料とする加工食品

神経系に刺激を与える食品

線維筋痛症は神経系の過敏性が特徴の一つとされており、神経系を刺激する食品は症状を悪化させる可能性があります。

カフェイン

カフェインには覚醒作用があり、一時的に疲労感を軽減したり、集中力を高めたりする効果があります。しかし、過剰なカフェイン摂取は、睡眠の質を低下させ、自律神経のバランスを乱し、結果として神経系の過敏性を高め、痛みを悪化させる可能性があります。また、カフェインの離脱症状として、頭痛や倦怠感、イライラなどが現れることもあります。

具体的な例:コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンク、ココア、チョコレート

アルコール

アルコールは中枢神経系に作用し、一時的に痛みを忘れさせる効果があると感じる人もいますが、実際には睡眠の質を著しく低下させ、脱水症状を引き起こし、体内の炎症を悪化させる可能性があります。さらに、アルコールは肝臓に負担をかけ、薬物との相互作用を引き起こすこともあります。線維筋痛症の薬を服用している場合は、特にアルコールの摂取は避けるべきです。

具体的な例:ビール、日本酒、ワイン、焼酎、ウイスキー、カクテルなど全てのアルコール飲料

その他注意すべき食品添加物

現代の加工食品には、様々な食品添加物が使用されています。これらの添加物の中には、一部の人でアレルギー反応や過敏症を引き起こし、体内の炎症反応を誘発したり、神経系に影響を与えたりする可能性があるものが存在します。特に注意したいのは、化学調味料(うま味調味料)や合成着色料、保存料などです。

具体的な例:グルタミン酸ナトリウム(MSG)などの化学調味料、合成着色料、人工保存料、人工香料が多量に含まれる加工食品(インスタント食品、レトルト食品、スナック菓子、清涼飲料水など)

食品を購入する際は、食品表示をよく確認し、できるだけ添加物の少ないものを選ぶように心がけましょう。

線維筋痛症で食べてはいけないものの具体的な例

線維筋痛症の症状を悪化させる可能性のある食品は、加工の度合いが高く、添加物が多く含まれる傾向にあります。ここでは、日々の食生活で特に注意し、できる限り避けるべき具体的な食品例を挙げ、その理由を詳しく解説します。

コンビニ食やインスタント食品

食品の種類避けるべき理由
カップ麺、インスタントラーメン高塩分、化学調味料(うま味調味料)、精製された炭水化物、加工油脂が多く含まれ、体内で炎症を促進し、腸内環境に悪影響を与える可能性があります。
冷凍食品(加工済み調理品)保存料、着色料、香料、増粘剤などの食品添加物が多用され、また、トランス脂肪酸を含む加工油脂が使われていることもあります。これらは体内で炎症反応を引き起こすリスクがあります。
コンビニ弁当、惣菜手軽ですが、高糖質、高塩分、加工油脂が多く、さらに保存料やPH調整剤などの添加物が含まれることが一般的です。栄養バランスも偏りがちで、慢性的な炎症や疲労感につながる可能性があります。
菓子パン、調理パン精製された小麦粉、砂糖、加工油脂(マーガリン、ショートニングなど)が主成分であり、トランス脂肪酸や高糖質を多く含みます。これらは血糖値の急激な変動を引き起こし、炎症を促進すると考えられます。
揚げ物(フライドチキン、コロッケなど)酸化した油やトランス脂肪酸を多く含み、体内で強力な炎症反応を引き起こすことが知られています。また、衣には精製された穀物が使用されていることが多いです。

清涼飲料水や菓子類

日常的に摂取しやすい清涼飲料水や菓子類も、線維筋痛症の症状管理においては特に注意が必要です。これらの食品は、見た目や味を良くするために、体に負担をかける可能性のある成分が多量に含まれていることがほとんどです。

食品の種類避けるべき理由
炭酸飲料、ジュース(果糖ブドウ糖液糖入り)大量の砂糖や果糖ブドウ糖液糖を含み、血糖値を急激に上昇させます。これは炎症を促進し、自律神経の乱れにつながる可能性があります。また、人工甘味料が使用されているものも、腸内環境への影響が懸念されます。
スポーツドリンク、栄養ドリンク電解質補給が目的であっても、多くの糖分や人工甘味料、カフェインを含む製品が多く、血糖値の急激な変動や神経系への刺激を引き起こすことがあります。
チョコレート、クッキー、ケーキ精製された砂糖、小麦粉、加工油脂(トランス脂肪酸を含む場合あり)が主な成分であり、炎症促進、血糖値の不安定化、腸内環境の悪化に寄与する可能性があります。
スナック菓子高塩分、加工油脂(酸化した油)、化学調味料、食品添加物が多く含まれ、炎症反応や神経系の過敏性を高めるリスクがあります。

特定の調味料や香辛料

料理の味を豊かにする調味料や香辛料の中にも、線維筋痛症の症状に影響を与える可能性のあるものがあります。特に加工度の高い調味料や、刺激の強い香辛料は注意が必要です。

食品の種類避けるべき理由
化学調味料(うま味調味料)グルタミン酸ナトリウム(MSG)などの化学調味料は、一部の人で神経系の過敏性を高め、頭痛や不快感を引き起こすことが報告されています。線維筋痛症患者の中には、これに敏感に反応する人もいます。
市販のドレッシング、ソース、たれ高糖質、高塩分、加工油脂、化学調味料、保存料など、様々な添加物が含まれていることが多いです。これらは炎症を促進し、腸内環境に悪影響を与える可能性があります。
特定の刺激の強い香辛料唐辛子、ワサビなどの刺激の強い香辛料は、適量であれば問題ないことが多いですが、過剰摂取は胃腸に負担をかけ、人によっては神経系を刺激し、痛みを悪化させる可能性があります。特に胃腸が敏感な場合は注意が必要です。
人工甘味料砂糖の代替として広く使われていますが、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムKなどは、腸内細菌叢に悪影響を与えたり、神経系に影響を及ぼしたりする可能性が指摘されており、線維筋痛症患者にとっては避けるべき成分の一つです。

線維筋痛症の痛みを和らげる食生活の改善策

線維筋痛症の痛みを管理し、症状を和らげるためには、避けるべき食品を知るだけでなく、積極的に摂るべき食品や、日々の食生活の工夫も非常に重要です。ここでは、体の中から健康をサポートし、痛みの軽減に繋がる具体的な食生活の改善策をご紹介します。

積極的に摂りたい栄養素と食材

線維筋痛症の症状緩和を目指す食生活では、炎症を抑え、神経機能をサポートし、腸内環境を整える栄養素を意識的に摂ることが大切です。以下に、特に注目したい栄養素と、それらを豊富に含む食材をまとめました。

栄養素期待される効果主な食材
オメガ-3脂肪酸強力な抗炎症作用、神経保護作用サバ、イワシ、アジなどの青魚、亜麻仁油、えごま油、チアシード
マグネシウム筋肉の緊張緩和、神経機能の正常化、エネルギー産生アーモンド、カシューナッツ、ほうれん草、わかめ、大豆製品
ビタミンD免疫機能の調整、痛み閾値の改善、骨の健康維持鮭、きのこ類(特に干ししいたけ)、卵黄
抗酸化物質
(ビタミンC、E、ポリフェノール類)
体内の酸化ストレスを軽減し、細胞の損傷を防ぐブロッコリー、パプリカ、ベリー類、緑茶、ナッツ類、ダークチョコレート
食物繊維腸内環境の改善、便通の促進、血糖値の安定全粒穀物(玄米、オートミール)、野菜、果物、豆類、きのこ類

これらの栄養素をバランス良く食事に取り入れることで、体の内側から線維筋痛症の症状にアプローチすることができます。特に、旬の野菜や果物は栄養価が高く、積極的に食卓に取り入れることをおすすめします。

自炊のススメと食材選びのコツ

線維筋痛症の症状を管理する上で、自炊は食生活をコントロールするための強力な手段となります。外食や加工食品に頼りがちな食生活から、自炊へとシフトすることで、避けるべき食品を避け、積極的に摂りたい栄養素を効率的に摂取することが可能になります。

自炊のメリット

  • 食品添加物の回避:市販の加工食品に多く含まれる食品添加物の摂取を減らせます。
  • 油の種類と量の管理:炎症を促進する可能性のあるトランス脂肪酸や加工油脂を避け、良質な油(オリーブオイル、亜麻仁油など)を適量使用できます。
  • 食材の質の選択:新鮮で、可能な限り無農薬・有機栽培の野菜や果物、抗生物質不使用の肉などを選べます。
  • 調理法の工夫:揚げるよりも蒸す、茹でる、焼くといった、体に負担の少ない調理法を選べます。

食材選びのコツ

  • 原材料表示を必ず確認:購入する際は、食品の原材料表示を細かくチェックし、不要な添加物や高糖質な成分が含まれていないか確認しましょう。
  • 旬の食材を選ぶ:旬の食材は栄養価が高く、価格も手頃なことが多いです。
  • 加工度の低い食品を選ぶ:できるだけ素材そのものの形に近いものを選びましょう。例えば、カット野菜よりも丸ごとの野菜、加工肉よりも生の肉や魚などです。
  • オーガニックや自然食品を検討:予算が許す範囲で、農薬や化学肥料の使用が少ないオーガニック製品や、自然食品を選ぶことを検討しましょう。

食生活の記録と専門家への相談

線維筋痛症の症状は個人差が大きく、特定の食品に対する反応も人それぞれです。そのため、自分にとって何が良く、何が良くないのかを把握することが非常に重要になります。

食生活の記録の重要性

日々の食事内容と、その後の体調や痛みの変化を記録する「食事日記」をつけることを強くおすすめします。記録することで、以下のようなメリットがあります。

  • 特定の食品が症状を悪化させる引き金になっているか、あるいは改善に寄与しているかを客観的に把握できます。
  • 自分の体の反応パターンを理解し、個別の食事プランを立てる上での貴重な情報源となります。
  • 医療機関や専門家に相談する際に、具体的な情報を提供でき、より的確なアドバイスを受けやすくなります。

記録する際は、食べたもの(食材、調理法)、時間、量、そしてその後の痛みのレベル、疲労感、消化器症状などを詳細に書き留めましょう。

専門家への相談

線維筋痛症の食事療法は、自己判断だけで進めるのはリスクを伴う場合があります。特に、特定の食品群を大きく制限するような場合は、栄養不足に陥る可能性も考慮しなければなりません。そのため、以下の専門家への相談を強く推奨します。

  • 主治医:線維筋痛症の治療全体を把握しているため、食事療法が現在の治療にどのように影響するかについて相談できます。
  • 管理栄養士:線維筋痛症の知識を持つ管理栄養士であれば、個々の症状や生活習慣に合わせた具体的な食事プランの提案、栄養バランスの指導、サプリメントの適切な摂取方法などについて専門的なアドバイスを受けることができます。

専門家と連携しながら、無理なく継続できる、自分に合った食生活を見つけることが、線維筋痛症の長期的な症状管理において最も重要なアプローチとなります。

線維筋痛症の食事に関する誤解と注意点

線維筋痛症の症状は、患者様一人ひとりによって大きく異なります。そのため、「線維筋痛症の食事」と一括りにしても、すべての人に同じ食事療法が当てはまるわけではありません。ここでは、食事に関するよくある誤解を解き、自分に合った食事を見つけるための大切なポイントを解説します。

「これは大丈夫?」個別の食品判断

「線維筋痛症だから、この食品は絶対に食べてはいけない」というような画一的なルールは存在しません。特定の食品が症状を悪化させるかどうかは、個人の体質や腸内環境、アレルギーの有無などによって大きく左右されます。

例えば、一般的に避けるべきとされるグルテンや乳製品も、すべての方に悪影響を与えるとは限りません。ある人にとっては症状を悪化させる要因となる一方で、別の人にとっては問題なく摂取できるケースも多く見られます。そのため、自己判断だけで安易に特定の食品を避けるのではなく、自身の体と向き合いながら慎重に判断することが重要です。

個別の食品に対する体の反応を理解するためには、以下の方法が有効です。

検討ポイント具体的な行動
フードダイアリーの活用食べたもの、時間、量、その後の体調の変化(痛み、疲労感、消化器症状など)を詳細に記録します。これにより、特定の食品と症状の関連性が見えてくることがあります。
エリミネーションダイエット(除去食)疑わしい食品群を一時的に完全に食事から除去し、症状が改善するかどうかを確認します。その後、一つずつ食品を再導入し、症状の変化を観察することで、原因となる食品を特定する手がかりとします。ただし、これは専門家の指導のもとで行うべきです。
専門家への相談医師や管理栄養士に相談し、個別の症状や食生活についてアドバイスを受けましょう。アレルギー検査や食物不耐性検査なども、必要に応じて検討できます。

過度な制限は逆効果になることも

「線維筋痛症だから」と、多くの食品を過度に制限してしまうことは、かえって心身に悪影響を及ぼす可能性があります。食事制限が厳しすぎると、必要な栄養素が不足し、新たな体調不良を引き起こすリスクがあります。例えば、特定の食品群を排除することで、ビタミン、ミネラル、食物繊維などが不足し、免疫力の低下や疲労感の増強につながることも考えられます。

また、食事の楽しみが奪われることは、精神的なストレスを増大させ、それが線維筋痛症の痛みを悪化させる要因となることもあります。食事は単なる栄養補給だけでなく、生活の質(QOL)を保つ上でも非常に重要です。極端な食事制限は、かえって精神的な負担となり、社会生活や人間関係にも影響を及ぼしかねません。

バランスの取れた食生活を維持しつつ、段階的に食事を見直すアプローチが推奨されます。無理なく続けられる範囲で、少しずつ改善していくことが、長期的な症状管理には不可欠です。

5.3 自分に合った食事を見つける重要性

線維筋痛症の食事療法において最も大切なことは、「自分にとって何が最善か」を見つけることです。一般的な情報や他の方の体験談は参考になりますが、それがそのままご自身の体に当てはまるとは限りません。個人の体質、症状の重症度、生活習慣、そして食の好みなどを総合的に考慮し、自分だけの「最適な食事プラン」を構築していく必要があります。

このプロセスは、決して一度で完了するものではありません。症状の変化や季節、体調に合わせて、柔軟に食事内容を調整していくことが求められます。焦らず、諦めずに、試行錯誤を繰り返しながら、ご自身の体に耳を傾けることが、線維筋痛症の痛みを和らげ、生活の質を向上させるための鍵となります。

食事だけでなく、十分な睡眠、適度な運動、ストレス管理といった他の生活習慣の改善と組み合わせることで、より効果的な症状の緩和が期待できます。専門家と協力しながら、ご自身に合った健康的なライフスタイルを築いていきましょう。

まとめ

線維筋痛症のつらい痛みを和らげるためには、食生活の見直しが非常に重要です。炎症を促進する高糖質食品や加工油脂、腸内環境を悪化させる可能性のあるグルテンや乳製品、神経系に刺激を与えるカフェインやアルコールなどは、避けるべき食品の代表例と言えるでしょう。これらを控え、新鮮な食材を使った自炊を心がけることで、体への負担を減らし、症状の軽減に繋がる可能性があります。ただし、食事への反応は個人差が大きいため、過度な制限は避け、医師や管理栄養士などの専門家と相談しながら、ご自身に合った無理のない食生活を見つけていくことが大切です。

目次