「夜、布団に入ってもなかなか眠れない……」「薬を飲まないと不安で眠れない……」そんな悩みを抱えていませんか?」
現代社会では、不眠に悩む方が増えています。特に、睡眠薬に頼っているけれど「できれば薬なしで眠れるようになりたい」と考えている方も多いのではないでしょうか?
今回ご紹介するのは、まさにそんなお悩みを抱えていた50代女性のケース。鍼灸を取り入れることで、どのように睡眠の質が変化し、薬から卒業できたのか——その経過を詳しくお伝えします。
患者プロフィール
・50代女性
・職業:事務職(デスクワーク中心)
・主訴:睡眠障害(薬なしでは眠れない)
・既往歴:特になし(大きな病気は経験なし)
・生活習慣:運動習慣なし、ストレスを感じやすい
この患者さんは、ここ数年「薬がないと眠れない」状態が続いていました。もともとは仕事のストレスや更年期の影響で寝つきが悪くなり、睡眠導入剤を服用。その結果、薬なしでは眠れない状態になり、依存が怖くなったものの、やめられないという悪循環に陥っていました。
そこで「自然に眠れるようになりたい」という思いから、鍼灸を試すことに。今回は、5回の施術を通しての経過を報告します。
施術と経過
【初回】不眠の根本原因を探る
カウンセリングと脈診、舌診から「気滞(ストレスによる気の巡りの悪さ)」と「血虚(血の不足)」の状態が確認されました。特に首肩の筋緊張が強く、自律神経の乱れも影響していると考えられました。
このため、百会・神門・安眠・三陰交 などを中心に施術し、全身の気血の流れを整えました。施術後、「少し体が軽くなった」とのこと。
【2回目】眠気は出るが、中途覚醒が続く
「施術後の夜は眠気が出たものの、途中で目が覚める」との報告がありました。これは、体が本来のリズムを取り戻そうとする過程でよくある反応。
この回では、前回に加えて肝兪・腎兪・失眠 などのツボを加え、肝・腎の働きをサポートしました。
【3回目】夜中に起きても、再び眠れるように
「夜中に目は覚めるものの、前よりもすぐ眠れるようになった」とのこと。まだ薬は必要だが、眠りの質が改善し始めた様子が見られました。
この回では、内関・合谷 を加え、リラックス効果を強化しました。
【4回目】薬の量を半分に減らす
「思い切って薬を半分にしてみたけど、意外と眠れた!」と喜ばれる変化がありました。首肩のこわばりも軽減し、ストレスに対する反応も和らいできた様子。
睡眠薬の減薬は慎重に進める必要があるため、焦らず進めるようアドバイスしました。
【5回目】薬なしで眠れる日が出てくる
「まだ不安だけど、薬を飲まずに眠れる日が出てきた!」と、大きな一歩を実感。この段階で、患者さん自身も「薬なしで眠れるかも」という自信を持ち始めました。
この回では、睡眠に効果的なセルフケア(お灸、耳のツボ押し、簡単な呼吸法)も指導。
考察:なぜ鍼灸が不眠に効果的なのか?
この患者さんの不眠は、主に 「ストレスによる自律神経の乱れ」と「血の不足(血虚)」 によるものと考えられます。
🔸 ストレスの影響 → 交感神経が過剰に働き、寝つきが悪くなる
🔸 血虚の影響 → 体を休めるためのエネルギーが不足し、浅い眠りになりがち
鍼灸によって、自律神経のバランスを整え、気血の巡りを改善 することで、自然な眠りを取り戻すサポートができたと考えられます。
その後の経過とまとめ
現在もメンテナンスのため、月1回の施術 を継続中。完全に薬なしで眠れる日が増え、体調全般の改善も感じているとのこと。
不眠に悩む方は多いですが、「薬なしで眠ることは無理」と思い込んでしまうケースが多いのも事実。鍼灸を取り入れることで、自然な眠りを取り戻す選択肢がある ことを、ぜひ知ってほしいと思います。
「睡眠の質を改善したい」「薬を手放したい」と考えている方は、一度鍼灸を試してみてはいかがでしょうか?