現代社会では、ストレスや不安、睡眠の質の低下に悩む人が増えています。そこで注目を集めているのが、鍼灸治療が脳に与える効果です。僕は総合診療医として、日々患者の心身の健康維持をサポートしていますが、最近では、鍼灸が脳の神経伝達物質や脳活動に与える影響に関する研究が進んでおり、その多様な効果に興味を持つようになりました。今回は、鍼灸がどのように脳の機能に作用し、ストレス緩和やリラックス効果を生むのか、具体的なエビデンスと共に解説します。
この記事を書いた人
鍼灸院Lapis Three代表 秋山貴志
鍼灸が脳に与える影響
鍼灸の効果を脳の視点から調べるために、fMRI(機能的磁気共鳴画像法)という非侵襲的な検査方法が用いられています。fMRIは、脳の活動に伴う血流の変化を視覚化する技術であり、鍼灸が脳のどの部位を活性化または抑制するかを明らかにするために活用されています。実際の神経活動そのものを見ることはできませんが、感覚や痛みに関わる部位の活動を通して鍼灸の影響を把握する手段となっています。
鍼灸で活性化する脳の領域
1990年代以降、多くの研究が行われ、鍼灸によって特に以下の領域が活性化することが分かっています。
- 一次体性感覚野: 触覚や痛み、温度の感覚を処理する領域です。
- 運動野: 体を動かすための信号を発信する領域で、鍼灸施術が刺激となって体の活動を促すと考えられます。
- 前帯状皮質: 血圧や心拍の調整に関与し、感情の処理にも重要な役割を果たします。
- 島皮質: 痛みや感情反応に関連する領域で、鍼灸がこれらの領域を刺激することによってリラックス効果をもたらすことが示唆されています。
鍼灸で活動が低下する脳の領域
興味深いことに、鍼灸によって活動が低下する領域も存在します。
- 内側前頭前皮質: 感情のコントロールに関与する領域で、リラックスする際に活動が低下することが分かっています。
- 扁桃体: 恐怖や不安の感情反応を処理する重要な領域で、活動が低下することでこれらの情動が和らぎます。
- 海馬: 扁桃体が関与する恐怖や不安の記憶を調整する役割を担っており、活動が低下することで過去の不安が抑制される可能性があります。
このように、鍼灸が脳の特定の領域に影響を与えることで、不安や恐怖が和らぎ、リラックス効果が得られるのです。これは鍼灸の鎮痛作用に関係する内因性オピオイドや他の神経伝達物質の関与によるものとされています。
鍼灸と神経伝達物質
神経伝達物質は脳内で情報を伝える役割を担っており、鍼灸はこれらの物質にも影響を与えます。具体的には、セロトニンやドーパミンといった気分や感情に関わる神経伝達物質が活性化されることで、精神的なリラックス効果や痛みの緩和が促進されます。また、鎮静作用や鎮痛作用を持つエンドルフィンも鍼灸によって分泌が促進され、体と心のリラックスをもたらします。
鍼灸が脳に及ぼす効果が期待できる疾患・症状
鍼灸が脳に与える影響を活かして、以下のような症状・疾患に対する改善が期待されています:
- 不安障害
扁桃体の活動を抑えることにより、不安感の軽減が見られます。鍼灸による神経伝達物質の調整が、リラックス効果をもたらします。 - うつ症状
セロトニンやドーパミンといった気分を左右する神経伝達物質の分泌が促進されるため、気分の改善効果が期待できます。 - 慢性疼痛
鍼灸による一次体性感覚野の刺激が痛みの伝達を抑え、疼痛の軽減が報告されています。これにより、慢性的な肩こりや腰痛にも効果的です。 - 不眠症
副交感神経が活性化され、深い睡眠に導かれることで、不眠症の改善にも役立ちます。 - ストレス関連の胃腸障害
ストレスにより引き起こされる胃腸の不調には、鍼灸が自律神経を整え、症状の緩和に寄与します。
Lapis Three鍼灸院について
町田市にあるLapis Threeでは、心と体の調和を重視した鍼灸施術を提供しています。特に、目の疲れや肩こり、そしてストレスや不安に関連する症状に対して効果的な施術を行い、地域の方々に信頼されている鍼灸院です。Lapis Threeでは、患者様の一人ひとりに合わせた施術を通じて、脳と体のバランスを整えるアプローチを提供しており、初回体験メニューも用意していますので、鍼灸が初めての方も安心してご利用いただけます。
まとめ
鍼灸治療は、ただ体の痛みを取るだけでなく、脳の神経活動に直接作用し、不安やストレスの緩和、気分の向上にまで影響を与える治療法です。心と体の健康を総合的に改善したい方には、Lapis Threeでの鍼灸体験をお勧めします。医師の視点から見ても信頼のおける効果がある鍼灸を、ぜひ体験してみてください。
予約方法
お電話・Web予約・Lineからご予約ください。